大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)1651号 判決

当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用、認否は控訴代理人において、電話加入権については電話規則第七条第一項は「加入者其ノ加入ヲ他人ニ譲渡セントスルトキハ当事者連署シタル請求書ヲ当該電話取扱局ニ差出シ其ノ承認ヲ受クベシ」と規定し、電話の管理保存について同規則第二十七条第一項本文は「電話ノ設置及維持ハ公社ニ於テ之ヲ行フ」とし、同第二十八条第一項本文は「加入者ハ濫ニ其ノ使用ニ供スル電話機設置ノ邸宅又ハ構内ニ在ル電話設備ノ移転、変更……ヲ為スベカラズ」と規定しているのであつて、これらの規定からすれば本件電話加入権の譲渡はなお完了したものではなく、贈与の履行は終つていないと述べ、被控訴代理人において右主張は失当であると述べた外、すべて原判決の事実らんに記載されたとおりであるからここにこれを引用する。

また電話加入権の譲渡については右電話規則第七条第一項は「加入者其ノ加入ヲ他人ニ譲渡セントスルトキハ当事者ノ連署シタル請求書ヲ当該電話取扱局ニ差出シ其ノ承認ヲ受クベシ」と規定していることは、控訴人所論のとおりであるが、この承認がなければ電話加入権の譲渡は絶対に効力を生じない趣旨であるかどうかは右規則だけからは明らかでなく、むしろ昭和二十八年八月一日から施行された公衆電気通信法(昭和二十八年七月三十一日法律第九十七号)第三十八条第一項は「電話加入権の譲渡は公社の承認を受けなければその効力を生じない。」とし、第二項は「公社は前項の承認を求められたときは、電話加入権を譲り受けようとする者が電話に関する料金の支払を怠り、又は怠るおそれがあるときでなければその承認を拒むことができない」と規定したところからさかのぼつて考えれば、右電話規則の適用があつた本件当時においては、電話加入権の譲渡は譲渡の当事者間においてはその意思表示によつて有効になされるが、只電話に関する役務の提供及び物的設備の供与の義務を負う電話事業者(公社)に対する関係ではその承認を必要とするものと解すべきである。従つて本件においては電話加入権は贈与により有効に控訴人から被控訴人に移転したものというべく、この事実と電話機械設備はその設置場所である前記佐久間町の家屋内において被控訴人が占有使用し、電話料金もそれ以来控訴人がその支払にあたつている事実とによれば、本件電話加入権の贈与については民法第五百五十条但書にいわゆる履行を終つたものと解するに妨げないものである。

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